VW Historyトランスポーターモデルを中心に、フォルクスワーゲン車の歴史を紹介しています。

T5(Transporter T5)

VW-T5とは

いうまでもなく第5世代のトランスポーターシリーズである。

フォルクスワーゲン商用車部門(フォルクスワーゲンコマーシャルビークル)が2002年10月6日にスタートさせ2003年4月25日にフル生産に入る。
これまで紹介してきた主な市場の北米には実はT5は輸出されていない。
なので北米に行ってもT5以降のモデルを見かけることはないだろう。
GAKUYAは北米にたくさんの友人ショップがあるが、日本でT5-T6.1を輸入しているんだと言うとみんなこぞって『ジェラシーだ』と口をそろえる。

それだけ北米での輸入中止は残念なことなんだと思う。
さてモデルの紹介だが、まずはサイズ。
T4世代に比べてひとまわり大きくなっているが、全長約4900mmx全幅約1900mmx全高約1990mm。
とはいえ狭い日本でもまだまだ取り回しのしやすい絶妙なサイズ。
進化の内容を乗用車モデルで比較すると、T4時代には無かったさらにエクスクルーシブなモデルが登場。
ドイツ版ではマルチバン・ハイライン、イギリス仕様ではカラベル・エグゼグティブがそれにあたるが、フロントシートには高さ調整も備えられ、セカンドシートは床面に敷かれたレール上を自在に前後し、回転することも可能。
サードシートも前後スライドし、背もたれを奥に倒し展開しセカンドシートを畳めばそれなりのフルフラット状態になるのも革新的ともいえるかもしれない。

また最上グレードにはスリーゾーンオートエアコンも装備、運転席助手席とリアの空調設定が自在にできるようになった。
日本の軽自動車では当たり前かもしれない電動スライドドアも装備されることに。
2010年には少し細見にみえるフェイスリフトが施され、それまで主流だったV6の3.2リッターや2.5リッターのディーゼルエンジン(TDI)も2.0TSIのガソリン、2.0TDIの140馬力シングルターボと180馬力のツインターボディーゼルエンジンに変更されより走行しやすいパワーユニットになったのも嬉しい変化だ。
GAKUYAではこのT5の後期モデルの2010年ごろから本格的に輸入業務を開始、現在(2022年現在)まで400台以上のオーナーさまにご納車させていただいている。

T5前期モデル(フェーズⅠ)2003~2009年

2003年に満を持して登場した第5世代のトランスポーター、VW-T5。

そもそもフォルクスワーゲン社のワンボックスカーは商用バンとして大型部類にはいるクラフターシリーズを除き、各世代のTシリーズ1本のみの車種構成。
そのためシングルキャブのようなトラック系からカリフォルニアキャンパーまでグレード幅が多く組み合わせは100通り以上と多様多彩で、その構成はT5でさらに進化することになる。
さてそんなT5のフェーズⅠだが、T4からはもちろんフルモデルチェンジ。
サイズもひとまわり大きくなりインテリアも刷新、T4時代ではATのシフトレバーが右ハンドルの場合、右座席から操作しやすいよう若干無理な角度に矯正されていたものもインパネ中央に配置され右ハンドルでも操作はしやすくなった。
エンジンはガソリンが2.0と3.2、ディーゼルが1.9と2.5となるが、さらに細かく馬力が設定され、11種類のバリエーションがあったよう。
日本でよく見かけるのはV型6気筒の3200cc(235PS/315Nm)ガソリンエンジンとDPF付きTDI 2500cc(174PS/400Nm)のディーゼルエンジン、どちらも正常進化したとても乗りやすいモデルとなっている。
ATはアイシン製の6速となり、T4の4速からは格段と走りが向上した。
後期に比べ少し分厚めなマスクは今もなお根強いファンが多い。

T5後期モデル(フェーズⅡ)2009~2015年

さらに進化したのがT5フェイスリフトモデルと呼ばれるT5の後期モデル。

内装においては前期より大幅に変更されたのはダッシュボード周りが主だが、外装においてはヘッドライトとフロントグリル、前後バンパー等がマイナーチェンジされた。
なかでも革新的なのはエンジンとATミッション。ディーゼルエンジンはDPFを標準装備し、当時の排出ガス基準の最高であるEURO5(ユーロファイブ)をクリアしたコモンレール方式TDIエンジン2.0リッターの140PS/340Nm(シングルターボ)と180PS/400Nm(ツインターボ)の2パターンが主になり、GAKUYAもこの2種類を輸入させていただいた。

ガソリンエンジンも3.2リッターに代わり2.0リッターのターボチャージャー付きTSIエンジンを搭載し、ATにおいてはご存知ダイレクトシフトギアボックス、いわゆるDSGと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッションが搭載され次世代への突入を感じるようになる。
このDSGの登場で欧州のマニュアルミッション文化が若干ながらオートマ文化にシフトし始めたのはあまり知られていないかもしれない。

シンクロから4MOTIONへ 

現在でも大人気の4輪駆動である4MOTIONはT5時代からの呼び名、それまではシンクロ(Syncro)という名称で親しまれていたのは有名だ。

シンクロ時代は西ドイツのビスコドライブ社が開発したビスカスカップリング方式、4MOTIONはスウェーデンのハルデックス・トラクション社が提供しているハルデックスシステムを採用している。
後者のシステムは電子制御式多板クラッチを用いており、ドライバーのアクセルワークや舵角等のパラメーターを分析し理想的な駆動力を計算して瞬時に前後輪へ配分、通常は前輪駆動ないしそれに近い状態で走行しているにも関わらず、有事の際は瞬時で後輪に駆動力を配分する頼もしいシステムである。
最強のワンボックスカーにこの4WDシステム。目的地を選ばないこのプレイスタイルに勝るものは何なのか、そういえば5年くらい前にふとそう思ってから答えはまだ見つかっていない。

マルチバンとカラベルの違いは?

各年代で国や地域によってモデルの呼称が異なることは前述してきたがVW-T5時代も例外ではない。
一般的な乗用タイプで最上級グレードと呼ばれるのが、ドイツでは「T5マルチバン・ハイライン」、イギリス仕様では「T5カラベル・エグゼグティブ」となる。
ドイツでは「カラベル」というと下級グレードになるのだが、実は双方は基本的に同等のグレードなのである。
何ともややこしいがT3のページでも書いたように好きなように呼べばいい。
なんたってこのクルマで楽しむことが先決、だからだ。

フォルクスワーゲン完全内製化のキャンパー『カリフォルニア』

T4時代の2001年にWESTFALIAがダイムラークライスラー社に買収されることを機に、フォルクスワーゲンはキャンピングカーの製造をすべて自社内製化に切り替えることを決意。

2003年8月に完全自社ビルドキャンパー『VW-T5 CALIFORNIA』を発売。
その後ドイツのデュッセルドルフで開催されているキャラバンサロンでカリフォルニアビーチが発表される。当初はポップアップルーフはオプションとされながらもオーストラリアで限定販売されたとか。

今もなお、人気急上昇キャンパーのカリフォルニアシリーズ、何年たっても目が離せない最高のハッピーライフの象徴であることはこれまでもこれからも変わることはないだろう。

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